屋久島・宮之浦岳縦走 1日目の2(入山編)

やがて到着したバスに乗り込み、終点の紀元杉まで走って行きます。
山道にさしかかる頃には、乗客はもう我々3人だけ。


そんな我々に「これから登山ですか?」と運転手さんが話しかけてきました。
台風が近づいてきているせいで天気が今ひとつだという話の後、我々3人とも今回が初めての屋久島ということを聞いて、いろいろなことを教えてくれました。
曰く、屋久島は花崗岩が隆起してできた島なので土壌が薄いこと、米が穫れないので昔は杉の木を伐って年貢代わりに納めていたこと、そのため材木になるような真っすぐな木は明治ころまでにはほとんど伐られてしまっていること、縄文杉やら紀元杉やらの有名な古木はゴツゴツしていたり曲がっていたりするので伐られずに残ったということ、等等。
そして登山について言うと、土壌が薄いので山では水がすぐに下へ流れていく、だから沢には絶対に下りないこと(まあこれは山屋なら常識ですが)、今年に入って3件の遭難事故があり、2件はまだ見つかっていないから注意すること、という話も。


乗客が我々だけなので、運転手さんは途中の屋久杉ランドでちょっと止まってくれたり、終点の紀元杉に着いても「バスはこの数百メートル先まで行って転回するから」ということで、荷物をバスに置いて紀元杉をゆっくり見るよう勧めてくれたりと、いろいろ便宜を図ってくれました。感謝。


紀元杉
紀元杉


「天気が悪いからくれぐれも気をつけて」という運転手さんの声に送られて、いよいよ出発。
Sさん・Iさんと話をしながら30分ばかり歩き、淀川登山口に到着。


ここで登山届を書いたりトイレを済ませたりしていると、登山口から2人組の男性が降りてきました。
聞くと、黒味岳まで往復してきたが真っ白で何も見えなかったとのこと。
やはり上のほうは天気はイマイチのようです。
さらに我々が今夜は淀川小屋、明日新高塚小屋に泊まるということを聞いて「食料を出しっぱなしにしてると夜ネズミに喰われるから注意してね。知り合いは寝ている時に顔の上を走られたなんていう素敵な体験もしたよ」というありがたいお言葉。
3人とも“小屋の主”との邂逅に身震いしつつ、登山口から宮之浦岳への一歩を踏み出すのでした。


比較的アップダウンの多い山道をおおよそ40分で、今夜の宿である淀川小屋に到着。
ちょうど着いたところで大雨がザーッと降り始め、急いで中に入ります。
この日は我々を入れて7人が泊まっていました。


夕食を摂りつつ、明日の天気はどうなるかと3人で相談。
隣のおじさん2人組からは「明日はここで待機して、1日予定をずらして登るのがいいかも知れないね」と言われ、うーん。


SさんとIさんは日程に余裕があるので1日待機しても大丈夫の様子でしたが、私は下山後の宿を予約しており、しかも下山の翌日に島を離れる予定なので、できれば明日のうちに登りたい。
しかしもちろん無理はできない。
すべては明日の天候次第…ということで、とにかく早く台風が通り過ぎて天候が回復することを祈りつつ、大雨が小屋の屋根に降り注ぐ音の中を眠りにつきました。


以下、2日目に続く。


*この日の行程*
紀元杉バス停 → 淀川登山口 → 淀川小屋
(雨のためほとんど写真を撮っておらず、各地点の通過時間などがわかりません。ごめんなさい)