屋久島・宮之浦岳縦走 2日目の2(嵐の登頂編)
おじさんから「出発してから最初の1時間と、山頂直下の1時間がキツい。あとは大丈夫」と情報をもらっていたのですが、確かに登り始めがしんどい。
雨もそれほど強くはないものの、断続的に降り続いています。
おまけに地面がぬかるんでいたり、大きな水たまりがあったりして、足下にも特に注意しないといけない。
今回の山行で初めて使うダブルストックにだいぶ助けられました。
出発から2時間ちょっとで、高盤岳展望所に到着。
本来ならば、文字通り高盤岳が望めるはずなのですが、真っ白で何も見えません。
水休憩のみで早々にリスタート。
程なくして小花之江河に。
このちょっと先の花之江河と合わせて、日本最南端の高層湿原なのだとか。
見た感じは日本庭園のような雰囲気ですが、天候のせいなのかカエルがたくさんいて、むしろカエルの巣窟のような印象です。
さらに進んで花之江河へ。
ここは小花之江河よりもかなり広いです。天気が良ければもっといい眺めだったろうに、と3人とも残念がりながら、時間のこともあって早々に出発。
このあたりから地面が土ではなく岩が中心になってきます。
岩の上を雨水が流れていて、川のようになっている場所も出てきました。
ああそう言えば、水はすぐに下へ流れるんだったなと、昨日のバス運転手さんの話を思い出します。
やがて投石の岩屋に到着。
団体さんがお昼を食べている脇を「失礼しまーす」と通ろうとすると、その先は行き止まり。
あれれ?と3人でハテナマークを頭の上に浮かばせていると、団体さんのひとりが「宮之浦岳ならこっちだよ」と、横の岩を指差します。
よく見ると岩の隣には倒れた標識があり、その先には細くて急な登り道が。
そして、その道の上からは水がじゃばじゃば流れてきていて、滝かと見まごうほどです。
「この滝を登っていくんですね」
「うん、この滝を登っていくんだよ」
「どうも失礼しました」
「奥のほうへ進んでいくから、君たちも休憩するのかと思ったよ」
そんなこんなで、図らずもちょっとした沢登りをしながら、さらに先へ。
すぐに投石平に着き、ちょうどお昼の時間ということで休憩することになりましたが、ここはもろに吹きさらしなので、さらにちょっと進んだところにある岩陰にザックを下ろします。
SさんIさんはおにぎり、私はゼリーとカロリーメイトで手早く補給。
雨さえ降っていなければ、投石平で座って休憩できたのですが、まあ仕方ありません。
このあたりからはすっかり稜線に出て、登りも若干緩やかになります。
足下もちゃんとした木道が整備されていて歩きやすい。まあ今日のような時は雨で滑ることもあるので注意が必要ですが。
翁岳の下を通過したあたりから再び急な登りになってきました。
淀川小屋のおじさんが言う「山頂直下の1時間がキツい」は本当だったわけです。
3人ともやや無口になりつつ、たまに出てくる標識の「宮之浦岳 ○km」という数字が少しづつ減ってきているのを励みに、黙々と登っていきます。
そして栗生岳を過ぎ、14時を回る頃、ついに宮之浦岳山頂に到着。
「やったー」と喜ぶ3人ですが、やっぱりここもガスっていて何も見えません。
おまけに一時止んでいた雨がまた降り出してきて、しかも真横から風とともに吹き付けてくるのですからたまらない。こんなところに長居は無用と、早々に立ち去りました。