屋久島 その1

無事予定通りに下山できたため「これからレンタカーを借りようと思っている」とSさんIさんに告げたところ、2人で何やら相談を始めました。
2人はこの日安房で宿を探すつもりとのことで、そこまでバスで移動するか、私と同じく翌日までレンタカーを借りるか、ということのようです。
結局2人もレンタカーにすることになり、SさんとIさんにレンタカー屋に電話してもらいました。


迎えにきてもらった車で営業所へ。
私は1人ということでバイクにし、SさんIさんは軽のバンを借ります。
いずれもこの日残っていた最後の1台ということで、「みなさん運がいいですよ」と営業所のおじさん。
もっとも、2人は「できたらナビ付きの車が良かった」という様子でしたが。


手続きをしてヘルメットとキーを受け取り、出発。
SさんIさんとはここでお別れ。ありがとうございました、さようなら!


宿に入って荷物を部屋に入れた後、再びバイクにまたがって西を目指します。
向かうはラムサール条約にも指定されているという、永田いなか浜。
毎年ウミガメが産卵・孵化する場所としても知られているところです。


バイクとは言っても50ccのスクーターなので、さほどスピードが出せません。
レンタカー屋のおじさんに「バイクで出せるのは30キロちょっとまでですよ。屋久島のおまわりさんはヒマなので、あっちこっちで張ってますよ」と注意されていたので、本当かいなとおっかなびっくり走っていると、後ろから来る車にバンバン追い越されます。
まあ車に追い越されるのは仕方がないのですが、同じくスクーターに乗った制服姿の女の子(地元の高校生?)にブチ抜かれた時には、さすがに「やっぱりバイクじゃなくて車にすればよかった…」と後悔しました。
ただ、その場合SさんIさんは借りられなくなっていたわけなので、それはお世話になった2人に対して申し訳ない。ま、これもいい経験(話のネタ)になったと考えることにします。


宮之浦から40〜50分ほどで、目的地の永田いなか浜に到着。
ちょうど日没間近の時で、水平線の向こうに見える島(口永良部島)の上にゆっくり沈んで行く夕陽に「おおー」と内心で感動しながら、しばらく見入ります。


永田浜
永田浜


ウミガメの卵を調査しているのか、浜辺に穴を掘っている人たちが近くにいました。
穴を掘っていた人は底から卵のようなものを何十個も取り出して、もう1人がクリップボードに何やら書き取っています。
ウミガメの卵が孵化する時期に当たっているということで、もしかして孵化の様子も見られるかなあと少し期待していたのですが、結局ウミガメがらみのものはこれ以外に見ることはできませんでした。まあ、そう上手くはいきませんね。


日も完全に沈んで暗くなってきたし、そろそろ帰ろうかと思っていると、近くにいた観光客風の若い男性が近づいて声をかけてきました。
「すみません、お一人ですか? どちらから来られましたか?」
一人で、宮之浦からだ、と答えたところ、「もしかしてレンタカーでしょうか?」
ああなるほど、乗せてもらいたいんだな、とようやく分かりました。
ここまでは一応バスの便はあるものの、1日に何本という本数で、18時前にはもう最終バスが出てしまっているのです。


しかし、こちらはあいにくバイクなのでもちろん乗せてあげられません。
その旨を告げると、ああーという表情をした後、それでもなお「2ケツができるようなバイクじゃないですかね?」と食い下がってきます。
スクーターなんですみません、と言ってその場を後にしました。


あとは来た道をそのまま戻って、宮之浦の宿へ。
温泉など、行こうと思えば行けるようなところもまだありそうでしたが、下山したばかりでもあり、無理はしないことにします。


しかし、永田浜の彼はその後無事に帰れたのでしょうか。